LRQAのキンバリー・コフィンが、世界経済フォーラムの最新リスクレポートと食品セクターへの影響を考察します。
楽観主義者であることとリスクマネジメントのキャリアを両立させるのは難しいことですが、最新の世界経済フォーラム（WEF）グローバル・リスク・レポートがその一例と言えます。気候危機と政治的紛争に牽引され、回答者の3分の2が今後10年間は激動が続き、世界的な大災害のリスクが高まると考えています。この先、平和で安全な時代が訪れると予測している回答者は1割にも満たないのです。私たちはリスクの新時代を迎えており、世界経済フォーラムはこの状況を形作る構造的な力について興味深い見解を示しています。
- 地球温暖化と気候への影響
- 世界中の人口の規模、成長、構造の変化
- 新技術の開発と導入
- 地政学的権力の集中と根源における重大な変化
この分析は、身近な食品セクターにおけるリスクの進化を理解するための確固たる土台となります。数十年前まで、食品リスクは製品の品質と安全性という観点だけで、ほぼ定義されていました。安定した、競争の比較的緩やかな経営環境では、コンプライアンスが最優先でしたが、現在では単にコンプライアンスだけでは十分ではありません。世界経済フォーラムのグローバル・スーパーリスクは、いずれも今日のリスク状況において、関連性が高いだけでなく、ビジネス上極めて重要であり、そのすべてを理解、軽減、管理する必要があります。それでは、何から着手すればよいのでしょうか？
世界経済フォーラムの分析と、LRQAが全世界の食品関連企業に適用しているフレームワークとの間には、深い相乗効果があります。これらの企業は高度に差別化されており、複雑かつ非常に異なる市場で事業を展開しています。多くの場合、リスクの戦略的評価には6つの共通の項目が含まれます。
- 気候：主に一次生産、エネルギー転換、包装、水、食品ロス、廃棄物の管理への影響。
- 技術：新しい生産方式とコスト最適化がリスク特性に与える影響
- 調達：特に労働者の福祉と児童労働に関する責任ある慣行の確保
- サプライチェーン：複雑化するサプライチェーンに関連するリスクと代替調達のニーズの理解
- サイバー脅威：2023年の食品メーカーの3社に1社が何らかのサイバー攻撃の標的になった世界でのオペレーショナル・リスク。
- ブランドと評判：正しい製品を提供するだけでなく、ブランドに対する消費者の期待にも応える。
これら6つの項目に、7つ目の重要なカテゴリーを加えることができます。例えば、気候に関連した作物の不作がサプライチェーンの俊敏性と複雑性に及ぼす影響、新しい供給元を導入する必要性、品質やブランドの信頼性に関連する付随するリスクなどについて考えてみます。また、新技術を選択・導入する際に内在するサイバー攻撃のリスクについても考えてみてください。エンド・ツー・エンド」でリスクを分析・検討する必要性こそが、LRQAがお客様のためにより統合されたソリューションに焦点を当てる原動力となっているのです。
この新時代のリスクに対処する戦略を考案する際、2つの疑問が生じます。第一に、問題が発生したとき、私たちは何を学習できるのでしょうか？学習（教育研修とは異なります）は、あらゆる効果的で機動的なリスク管理プログラムの中核をなすものです。私たちは成功から学ぶべきですが、より重要なのは失敗からも学ぶことです。何がうまくいかなかったのか、どこでうまくいかなかったのかだけでなく、なぜリスクの本質が誤って理解されていたのかを理解するために時間をかけることこそが重要です。是正措置と失敗の根本原因を理解することは違います。つまり、失敗の再発を防ぐ方法を知るということです。
幸いなことに、私たちが自由に使えるツールはかつてないほど強力になっています。私たちはデータを信頼できるのでしょうか？その信頼は、最も価値のあるデータがどこに存在し、どのように収集、保存、整理されているかを理解することから始まります。脆弱性を特定し、マネジメントの有効性を評価するために、どこでデータを取得し、検証できるのでしょうか？
LRQAのEiQプラットフォームは、20部門にわたる2万5000件のLRQAサプライチェーン監査のデータを集約し、サプライチェーンインテリジェンスを提供 しています。このような規模のデータは、リスクの所在を正確に把握し、安全性やオペレーション、ひいてはブランドへの潜在的な影響を理解するのに役立ちます。
新しい時代ですが、食品科学、安全性、コンプライアンスに端を発し、セクター全体にわたって、リスク慣行が適応していくと確信できる十分な理由があります。消費者の嗜好は変容し、品質と供給への期待や、ローカル市場における多様でグローバルな味に対する需要も変化しています。もはや食品は美味しいだけでは十分ではなく、福祉に貢献し、動物と人間の福祉を尊重し、環境への影響を最小限に抑えなければなりません。しかし、リスクの状況が変化するたびに、その能力は進化し、向上しています。世界経済フォーラムの分析は悲観的なものですが、食品業界は対応する準備ができています。
