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【対談】SDGsを新たな事業環境要因として捉える。

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【対談】SDGsを新たな事業環境要因として捉える。

杉光 一成 教授
[ 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 ]
東京大学大学院・修士(法学)、東北大学大学院・博士(工学)。 電機メーカーの知的財産部等を経て、金沢工業大学大学院に至る。専門は知的財産に関する先端領域及び学際領域。
これまでの公職歴として参議院・経済産業委員会調査室・客員研究員、総務省「メタバース著作権委員会」委員、内閣府・知的財産戦略本部・検証評価企画委員、東京大学未来ビジョン研究センター・客員研究員(現任)等の他多数。2009年に経済産業省「知財功労賞」受賞。

LRQA:現在「持続可能な開発目標(SDGs)」について、ビジネスの場においてもSDGs達成への貢献について言及する声が出始めていますが、実際には社内でどのように取り組めばよいのか?といった声や、社外に対して自社のSDGs達成についてどのように貢献しているか伝えればよいのか?という声があり、社内外での取り組みを確立できずにいる組織も多いと言われていますが、お二人ははどのように感じておられますか?

寺田審査員:審査の中でSDGsへの取り組みを掲げている組織も多くあります。SDGsは、企業のリスク又は機会そのものと捉えることもできますが、未来を見据えたリスク及び機会への取り組みは、正に2015年版(ISO 9001, 14001)で追加されたアプローチです。この点からも、SDGsへの取組に、マネジメントシステムを活かさないのはもったいないと思うのです。
中にはサスティナビリティの戦略を立案する経営層と、マネジメントシステムの方針/目標設定に壁があるケースがあり、連携されていないように思われる組織もあります。環境や品質マネジメントシステムの目標設定も、もっと高いポテンシャルを持つ企業と思われるのにも関わらず、無難な目標設定が多いことも、運用の成果が見えにくいことが要因の1つかもしれません。

杉光教授:私はいつも講演の中でまず「SDGsはCSRではありません。」とお伝えしています。このSDGsは、2030年には事業を展開するうえでは必ず求められるものであり、新たな事業環境要因の1つとしてとらえるべきだとお伝えしているのです。
企業にとっては、外部環境が変化しているということですね。将来、このSDGsに対応できているかどうか次第で、機会を掴む企業と、リスクに直面する企業が現れてくると思うのです。

LRQA:確かにSDGsをCSR活動の1つとして捉えられている企業が多いようですね。では、新たな事業環境の変化をもたらしているSDGsに対し、企業はどのように取り組めばよいと思われますか?

杉光教授:SDGsの実現には技術イノベーションが不可欠なものが多いのですが、その実現に活用できる技術がどこにあるのか?どのくらいあるのか?といったことがわからない状況です。私が専門とする知的財産の世界においても現状、世界の「技術」に関する情報(学会誌、専門誌、その他)の書式・様式が不統一で信頼性も一定でないことから、SDGsのそれぞれの目的に対してどの企業や組織、どの国がメジャープレイヤーになるのか分からずにいます。
そこで、特許出願にSDGsとの対応関係を表示することによりSDGs目標達成を見える化できるのではないかと考え、政策提案しています。

寺田審査員:SDGsに取り組むにあたっては、マネジメントシステムにおいても外部・内部の課題を改めて考え特定することになり、リスクと機会の特定においても関係するものです。
SDGsへの取り組みには社内の様々組織が連携する必要があり、そこにはISOで求められる経営陣のコミットメント、つまりトップマネジメントを始めとした経営陣の関与なくしては実現できないと考えてています。

LRQA: 11月のセミナーで、さらにお話を伺えることことを楽しみにしています。ありがとうございました。

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