米国証券取引委員会（SEC）は、全米に適用される気候関連開示規則の最終版を公表しました。
この動きは、温室効果ガス（GHG）の排出量を直接・間接的な事業活動の両方から削減するよう企業に対する圧力が高まるなかでのもので、アシュアランス4.0（リスク管理の新時代）の時代に企業の透明性を優先させるという米国の重要な取り組みを示すものです。
最終版は、以前に提案されたものから規模が縮小されたものの、投資家が企業に対して標準化された要件を求め続ける中、この進展は米国の環境への説明責任において極めて重要な意味を持つものです。
新しい規則のポイント
SECの新ルールは、気候変動がビジネスに与える影響を評価するために必要な情報を投資家に提供することを目的として、対象企業（すべての米国SEC登録企業）に対し、気候変動関連リスクに関連する様々な側面の開示を義務付けています。要求される開示は以下の通りです：
- 会社の事業戦略、経営、財務状況に影響を及ぼす可能性のある気候関連リスク
- これらの気候変動リスクが事業に与える、実際及び潜在的な重要な影響。
- リスクマネジメントシステム全体に組み 込まれた、重要な気候変動リスクの特定、評価、管理のためのプロセス
- 会社の事業、経営成績、財務状況に重大な影響を及ぼす気候関連の目標に関する情報
- ハリケーン、竜巻、洪水、干ばつ、山火事、異常気温、海面上昇など、悪天候やその他の自然条件に関連する財務的コスト
- 開示された気候変動関連の目的・目標を達成するための組織の計画の重要な要素として使用される、カーボンオフセ ットや再生可能エネルギー証書（REC）に関連する財務コスト
最終版の規則は連邦官報に掲載されてから60日後に発効し、2025年から段階的に適用されます。
最終版の規則は連邦官報に掲載されてから60日後に発効し、2025年から段階的に適用されます。このスケジュールにより、企業は新しい報告要件に備え、それに従って戦略を調整する機会を得ることができます。
透明性の向上による競争優位性
SECの最終版の規則では、スコープ1とスコープ2 の排出量について、報告書を添付して開示することが義務付けられています。Scope1とScope2の排出量に関する第三者検証は、排出量報告の信頼性、透明性、説明責任を高める上で重要な役割を果たし、企業が利害関係者に信頼できる情報を提供することで、十分な情報に基づいた意思決定を行い、事業活動から生じる組織の環境影響をより深く理解するのに役立ちます。
第三者検証を実施することで、企業は透明性と説明責任へのコミットメントを示し、投資家やその他の主要な利害関係者からの信頼を高めることができます。
データ主導型のアプローチは、アシュアランス4.0の時代における課題と機会の両方に対応するために不可欠です。
新基準としてのサプライチェーンの完全性
最終版の規則は、気候変動情報開示において米国にとって画期的なステップとなる一方で、当初の提案に比べ規模を縮小する内容も含まれています。最終版の規則では、大企業にのみ適用され、企業のカーボン・フットプリントの大部分を占めるスコープ3の排出量開示は削除されました。
しかし、デューデリジェンス・プロセスの一環として、また利害関係者に信頼と透明性を示すための幅広い取り組みの一環として、報告書にスコープ3を含めることは、依然としてお客様の最善の利益となります。カリフォルニア州の気候企業データ説明責任法（SB253）やEUのCSRD（コーポレート・サステナビリティ報告指令）など、その他の規制も、メディアによる監視の強化や投資家からの圧力の高まりと相まって、Scope3排出量は依然として優先事項となっています。
規制が進化し続ける中、企業は新たな要件に対応し、サステナビリティと透明性へのコミットメントを示すために、注意深く、かつ先を見据えて対応する必要があります。LRQAは、サプライチェーンにおける人的影響と環境的影響の両方をモニタリングし、追跡する方法を理解しながら、マテリアリティ、科学的根拠に基づく目標（SBT）、戦略、トレーニング、改善サービスを提供しています。
アシュアランス4.0の時代における課題と機会の両方に対応するには、データ主導型のアプローチが不可欠です。LRQAは、データ主導の洞察を通じて、可視性を高め、リスク管理を強化し、サプライヤーのエンゲージメントを活性化することで、デューデリジェンス・プロセスが充実した確固たるものになるようお客様を支援します。また、データ、情報、レポートの評価と検証を行い、お客様にとって最も重要な人々に対する信頼性と信用を高めます。CO2排出量の管理およびサプライチェーン・デューデリジェンスの強化をご希望の場合は、LRQAの専門家にお問い合わせください。
