自動車の廃バッテリーなどを回収して、リサイクル鉛を精錬している、株式会社大阪鉛錫精錬所。
2001年に取得したISO 14001を経営ツールとして徹底して活用することで、社員たちのモチベーションが大きくアップ。“紙・ゴミ・電気”の削減のみならず、生産性を向上させ、業績も大きく上向くなど、経営のスパイラルアップを実現している。(取材年月:2008年4月)
精錬業界の中でもいち早くISO 9001、ISO 14001を取得
大正8年に創業以来、大阪市で長きに亘りリサイクル鉛の精錬を行ってきた株式会社大阪鉛錫精錬所。また、昭和56年から同社尼崎工場にて超硬工具のリサイクルを始めるなど、古くから、リサイクルという環境貢献の高い事業を展開してきた同社だが、精錬業者の中でも、いち早くISO 9001、ISO 14001の認証を取得したという。
「元々、当社はベテラン社員が多く職人気質な社風でした。新人は先輩社員の背中を見て仕事を覚える、という状況だったのです。しかし、これでは、高い品質を維持することはできません。そこで、手順書をつくり業務を標準化するために、1997年にISO 9001を取得したのです。」
と、綿引氏はISO 9001認証取得の理由を語る。そして、苦労をしながらも手順書を完成させ、業務の標準化への土台ができあがったという。さらに、グリーン調達など環境への対応が迫られる中で、2001年にはISO 14001を取得した。
徐々にISO 14001の考え方が社員たちに浸透
当初は、ISO 14001に対する社員の関心が低く、まずは、幹部クラスの社員だけでPDCAサイクルを回すことになったそうだ。しかし、ISOをやらされているという意識を持つ社員が多かったという。そんな状況に変化が訪れたのが4年前のことだった。
「30代の社員に第一線管理職を任せることになったのです。まずは、PDCAサイクルの“P”計画を立てる、目標を設定することを重点的に教育しました。元々、当社の社員たちには、目標を持って働くという風土がなかったため、業務の中で個人目標を設定して、それに向かって業務を改善するという空気を植えつけたかったのです。これには、ISO 14001は最適なものでした。」
と綿引氏は振り返る。また、社員たちにISO 14001を受け入れてもらうのに、LRQAの審査が役立ったという。
「LRQAの審査員は、重箱の隅をつつくような審査はしませんでした。審査の際には、すべてをさらけ出して、非があったら直せばいいだけ、とも言ってもらえたのです。また、審査中に社員が自主的に集まり勉強会のようになるなどの場面も見られ、社員たちも審査に対して構えることなく素直に受け入れるようになっていきました。」
こうして徐々に社員たちの間には、ISO14001のPDCAサイクルという考え方が浸透しはじめたという。
『株式会社大阪錫鉛精錬所様 事例紹介』
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